派遣会社を利用するメリット・デメリット

通訳ガイド業務を希望される方へ

「派遣会社、受諾会社が介在する働き方だと手数料を取られて手取りが少なく、損をするのではないか…?」そんな不安をお持ちの方は、是非、正しいメリット&デメリットを知ってご判断下さい。

派遣会社&業務受諾会社は、

《顧客(旅行会社・一般企業組織)》と、《登録人材》
双方のニーズから要望されたビジネス形態です。

通訳ガイドの就業形態は、様々です。業務委託、人材紹介、旅行会社との直接契約、外国人客との直接契約などある中で、どの形態を選択するかは自由です。派遣会社や受諾会社を使いたい旅行会社、派遣会社・受諾会社に守られ育てて欲しい通訳ガイド、その双方のニーズに応えて時代が求めたスタイルといえましょう。

通訳ガイドが 派遣会社を利用するメリット
(複数の旅行会社への調査結果他より)

1)営業活動が支援され、活動範囲が広がる(営業代行)

自分一人では、営業でまわる範囲も限られ、そもそも営業をすることもやり方も慣れずに戸惑うことが多い。が、派遣会社は自分の代わりに営業をして仕事を取ってきてくれるので、思いもよらなかったような業務に出会えることもあるのは魅力である。

2)実力、資質にあったマッチングがされて安心、個人情報も守られる

ツアー業務は種類によって、それぞれ求められる要件が異なる。個々のガイドの実力や資質も異なる。よって、その両方を確実に把握・認識しずらい場合には、自身に合わない無理な仕事を受けて失敗し、お客様や旅行会社に迷惑をかけ、自信を失って脱落するケースがある。

その点、ガイド人材の状態を冷静・的確に判断し、それに見合った業務にマッチングしてもらえるのは安心。派遣・受諾会社は都度、テクニカルな相談でき、徐々により幅広く大きな仕事ができるように見守られ、育成してもらえる貴重な存在である。(会社のコーディネータにより状況は変わるが)

また、旅行会社他の顧客に提出される個人情報は、派遣&受諾会社によって守られるので、住所や年齢、学歴などまでが顧客ルートに漏洩する危険がないのも安心である。

3)専属社員待遇ガイドとして社会保険等が適用される道もある

特定の会社で一定の稼働日数を確保して評価を受ければ、専属社員待遇が得られる例もある。安定した業務報酬と賞与が支給されるケースもある。毎年更新する契約社員待遇が多いようであるが、ガイド自身の人生その時々の状況に合わせた、柔軟なスタイルを多様に求める人には合っているかもしれない。

4)緊急時、ピンチ時のサポートが得られる

インフルエンザや急病、身内の不幸その他で就業が突然不可になると、ツアーに穴をあけて外国人客や旅行会社に迷惑をかけてしまう場合がある。しかしながら、派遣・受諾会社が介在していれば親身になって代替ガイドを探して手当てしてもらえるので、自らの評判を落とすなどの心配がなく心強い。

事故に限らず通常のツアー中でも、旅行会社には尋ねにくい点が、派遣・受諾会社のコーディネータには気楽に相談ができる。情報アドバイスも得られるので頼ることができ、一人ではない安心感がある。

クレーム時には、旅行会社の担当者やガイドはパニックに陥りがちである。が、一方的に顧客から言われる責めを 100%受け入れるのではなく、経験あるコーディネーターは現場のガイドの置かれた状況を理解し、冷静に分析して適切な対応説明を顧客に行うことができる。穏やかに収める力がある経験豊富なコーディネーターは心強い味方、後ろ盾である。

5)マイ・マネージャー&秘書的な役割のサービスも可能(㈱ランデルズの場合)

ツアー業務が立て込んで別件の打合せに出席ができない場合、派遣会社社員が代理出席をして別途、内容を通訳ガイドに伝達することも可能。派遣・受諾会社に必要な情報収集を代行、あるいは提供してもらったり、仕事を断る時の理由説明、旅行会社の手配、営業担当者の不適切な業務ぶりがあった際など、自分では直接は言いにくいことを代わりに伝えてもらうこともできる心強いビジネスパートナーである。

共にに業務の成功を目指すパートナーとして、現場を熟知したアドバイザーから各種の提案や指導を受けられるので、励まされる。

6)現場で仲間が助け合える関係が構築でき、孤独感が軽減される

ツアー現場で出会う他の通訳ガイドは、同業者でありながらも皆、一匹狼的な競合相手であるという一種の緊張感を伴うものである。しかし同じ派遣会社からのガイドだとわかると、仲間意識が芽生え、困ったことは相談し、現場で情報を交換したり助け合ったりする精神が発揮されやすい。事前に派遣会社から同社のガイドを紹介される配慮もあり、チームワークが生まれるとツアー現場も楽しさが増す。

7)派遣会社による研修やアドバイスが貴重である

定期的なガイド技術のトレーニングや情報共有の研修などが無料・有料、時には有給で提供されることがあり、品質管理の一環として自らのスキルが向上できるのは喜ばしい事である。仲間との勉強会や、指導者からの適切なアドバイスなどを通して、会社に育てられている実感があるのは良い。

トラブルやクレーム時は気持ちが落ち込むが、派遣会社の裁量で的確にフィードバックしてもらえるので、今後の改善策を講じる手立てを推進力として前向きに捉えることができる。

8)労災保険でカバーされ、賠償金額も軽減される安心感がある

勤務日については社員扱いとなるので、ツアー中だけでなく、自宅からの通勤移動中を含めた業務中の怪我、疾病に関しては、労災その他の保険(㈱ランデルズは、民間の保険にも追加で加入)に、適用されるのは安心である。

(かつて、ツアー中に転倒骨折し、通院療養で休業したガイドが、労災で治療費が支払われたのみならず、休業補償の手当金も受け取ることができた幸運例もあった。)

お客様や顧客からの預かり物の損傷、紛失、またはガイディングのミス等で顧客に対する賠償席因果派生する場合がある。そんな時、顧客との直接契約であればガイド個人が100%負担すべき金銭を、派遣・受諾会社が管理責任として一部肩代わりして負担してくれる事が多いのは助かる。

9)閑散期に、ガイド以外の関連業務の依頼も受けられる可能性がある

ガイド業務に限定されず、一般通訳&翻訳や、教材作成、研修・教育関連業務など、通訳ガイド以外の業務依頼を受けることもできる。これは閑散期には特に大きなメリットとなる。

派遣会社を利用するデメリット

1)旅行会社との直接契約よりも、手数料分が差し引かれて手取り金額が少なくなる

(→補足情報:派遣会社の受け取る手数料割合は各会社のホームページに記載されるが、経験度や実力、業務内容などにより、またお客様の人数によっても新人~ベテランで変動する。また、英語以外の通訳ガイドや超ベテランガイド手配の際には、保険料他の経費を考慮すると、派遣会社は赤字運営を余儀なくされているケースも少なくない実態がある。)

2)料金は給与扱いの為、確定申告で購入した資料、下見交通費などが経費計上できない

事業報酬として受け取れば、各種の経費が確定申告で計上できるが、給与であると、基本的にはサラリーマンと同じ基礎控除の適用のみとなる。

(→旅行会社もガイドに対して給与支払いをする例は少なくない。㈱ランデルズは派遣と業務委託を併用している。業務委託の取引の場合は事業報酬となり、ガイドは事業開始届を税務署に届けたうえで確定申告が必要となる。業務によっては、旅行会社が業務委託ではなく派遣契約を強く要望する場合もある。)

3)失敗やミスがあった時、会社に迷惑をかけるプレッシャーがある

クレームやトラブルを起こした場合には、迷惑をかける相手が増えることになると感じて気が重く、自由な気軽さがない面がある。

4)派遣会社のカラーに影響を受けることがある

「あの会社のガイドなら優秀に違いない」あるいは「あまり慣れていない」など、過去の他の派遣ガイドの実績に影響された偏見を持たれると、期待とプレッシャーを感じる時がある。




以上が、考えられ得る派遣のメリット・デメリット例です。



なぜ本事業を行うのか

(株)ランデルズ 代表取締役 ランデル洋子

私は、1976 年頃より通訳ガイドとして、様々な現場を経験してきました。同時に海外旅行の添乗員、観光客受入れ担当海外駐在、ツアーオペレーター、一般通訳、翻訳、海外企業の代理店業務、英語ナレーション業務ほか、英語を使ってできる仕事に数多く携わってきました。22 歳で国家資格を取得し、上京後 20 代半ばで経済的自立の厳しさを経験し、金銭的にシビアな感覚が育まれたと思います。貪欲に働き、学ぶことにも自己投資をし、過酷な環境にも果敢に飛び込みました。でも何よりも英語を使った仕事が好きで、自分の可能性を試したいという思いが強かったのです。

働きながら楽しいことも辛いことも経験し、同時に悩みを抱えることも多かったので、何でも相談できて、常に自分の立場で考えてくれ、自分を見守ってくれるマネージャーが欲しい!メンターが欲しい!こんな願望がありました。

それを具現化したのが、㈱ランデルズという会社です。ですから常に各個人の人財としての資質を判断して、より良く伸びて欲しいという気持ちで、現場に直結するダイレクトなアドバイスを惜しまず(時に疎まれる?笑)後押し&指導を続けてきました。ひとりひとりの成長の姿を見ては内心ニンマリ嬉しい気持ちに浸る…成長過程で必要なトレーニング法や研修は、GICSS 研究会という NPO 法人を設立して試行錯誤しながら開発し、研修に参加してもらった結果を実践に繋げる、学びと実践を、複合的に組み合わせた研究の繰り返しの年月でした。

学問的にも専門的にも突っ込んだ配慮も含めた画期的な GICSS の研修は、業界でも話題となり他組織でもその手法は取入れられる事がありました。技術の優劣のみならず、成功するにはコミュニケーション力や営業マインドが大きな要因を占めることも認識しており、自分が回り道と失敗を重ねた経験から近道をご案内しています。

こんなに手をかけた状況ですから、㈱ランデルズは、単に営利目的の他の派遣会社とは、一線を画します。一人のガイドさんの為に社員 2-3 人が 30 分もかけて問題解決や、どう伸ばしたらよいかを知恵を出し合って議論することもあります。コーディネーター達は心を砕いてガイドスタッフの為を思って考えを思いめぐらしています…その水面下の献身的な光景は、外部の方には見えない部分です。

全体が「より良い品質でお客様に喜んで頂き、ガイド職の品位を生み出す研究と実践の総合部隊」の構想に基づいた動きです。その説明が行き届かず、なかなか外部には理解をしてもらいにくい状況があったり、誤解を招きがちなこともあります。が、この基本信念を信じて、通訳ガイドも旅行会社も、地方自治体も研修コンサルタント会社も、そして社員も賛意を示し、長きに渡り一緒に歩んでくれる人達がいることに充実感と感謝の念が堪えない思いです。